新しいことへのチャレンジで
全社的な「柔軟性」が生まれる

香山 貴則品質保証本部 家電品質保証部 品質保証課
INTERVIEW 03

Introducton

品質保証のフィールドを長く歩んできたが、その間に製造部門や商品企画部門も経験。商品の開発から、製造、販売するというところまですべてに携わってきた。香山いわく品質保証とは「お客さまの一番近くでお客さまの安全を考える仕事」。

伝統工芸品プロジェクトへの思いは?

木の特性を大切にしたかった

私は長野県木曽地域の出身です。そして、父は林業に従事していたので、子どものころから木曽の木材には親しみがあったんです。木曽漆器のお膝元ですから、漆も身近なものとして普通に家庭で使われている土地柄です。漆器をいただくこともたびたびありましたね。父は趣味で木製の箸を作っていたんですが、職人さんに漆を塗ってもらっていたりしました。
郷土の強みである「木」を使った、地元の伝統工芸品なので、弊社がコラボできたこと、そして私自身が関わることができてうれしく思っています。
木は1本1本それぞれ特徴が違う。それどころか同じ1本でも使う場所によって違うし、切り方によってもまた違う。ある意味やっかいなのは、その個性が魅力だということです。「自分だけのもの」というオリジナリティが所有欲を呼び起こします。そのオリジナリティを活かすために、固定観念を捨てる必要がありました。
10年以上、同じ部署にいれば、どうしたって固定観念は蓄積されていきます。それに気付かされたことにも大きな意義がありましたね。

開発メンバーとしての苦労と得たものは?

疑う前に、視野を広げることの大切さ

今回の商品のことを最初に聞いたときは「ありえない」とすら思いました。先ほどの「個性」、つまり個体差もそうですが、木は環境による変化も大きいものです。「本当にやるの?」という違和感がなかなか払拭できませんでした。実際に調べ始めてみても、やはり熱や湿度などによる寸法変化がプラスチックなどとは単位が全然違う。
工業製品の材料のほとんどを占めるプラスチックや金属では、目標の嵌合値に合わせて形状を見直していくのが通常です。しかし、木はそれができない。今回の商品で言うと、環境変化で蓋の着脱性が変化してしまう。
しかし、そもそも今回は弊社のこれまでのラインナップとは一線を画す製品です。「木の特性」という大切にしなければならないもののために、製品基準をひたすら調整していきました。従来は逆。基準にモノを合わせるわけです。こうした発想の転換はこれまで迫られたことがありませんでした。
私たち品質保証の仕事は「疑う」ことが大事ですが、いったん視野を広げてみて、それから疑う。それだけでメーカーとしての可能性は広がります。

このプロジェクトがIZUMIにもたらすことは?

挑戦を重ねるごとに楽しみややりがいが増すはず

逆にこれまでとの違いを受け入れず、大事にしたこともあります。その中で一番重要だったのは安全装置です。今回の商品はサイズが小さく、当初の設計では刃の部分の安全装置が組み込まれていませんでした。しかし、小さくてほぼ安全な設計だとわかっていても刃物は刃物。譲れないラインでした。設計の頑張りで、胸を張って世に出せるものができました。相当な苦労をかけたとは思いますが(笑)。
これまでの開発ステップでも、デザインに凝りすぎたり、組み立てやすさにメリットが偏りすぎたりして、開発や製造の担当と私たち品質保証がぶつかることは多々ありましたが、今回は特に大変でした。
会社全体が新しいものにチャレンジしようとしていることで、私もとてもポジティブになれます。通常業務を続けながら取り組んだ今回のプロジェクトは「しんどい6:楽しい4」でしたが、挑戦を重ねるごとに楽しみややりがいは増えていくと思っています。何より、新しい商品を開発するうえで不可欠な「柔軟性」が、社内全体で育まれていくことが楽しみですね。

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長年受け継がれてきた技を未来へつなぐために。
地域の伝統工芸品のつくり手とIZUMIがとも
に開発したコラボレーションProductsです。

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